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車屋とは?/ セントラルファイナンス

[ 259] 車屋_本文
[引用サイト]  http://www.dab.hi-ho.ne.jp/cybersoba/kurumaya/Desc_kurumaya.htm

福島県から移築されたとする古い民家。広い砂利びきの駐車場からこの壮大な田舎屋に見とれながら入口へと歩いていく。入り口には目黒邸とあったような気がするが、これは旧目黒家の屋敷だったのだろうか。
案の定他に客はいない。これ幸いと庭に一番近い膳につく。木の床に小さなざぶとん。田舎屋らしい風情である。お弟子さんたちであろうか、若い衆がこちらに気を使いながらきびきびと動いているのが感じられる。それにしてもとても天井が高い。普通の2階屋はあろうかと思われるほどの高さである。豪農の田舎屋に招待されたような、あるいは修行僧の居る禅寺に足を踏み込んだような、少しピーンと張ったな空気がこれから供されるそばの味への期待を心地よく高める。若き修行僧(ではないけど)に「せいろ」一枚をたのむ。
はっきり言おう。これまで食べたそばの数々の中で、庵主はこの「せいろ」こそが全ての面で納得のいく一枚であった。まず、麺。やや細めではあるが、理想的な切り幅。美しくざるの上に盛られている。そばの盛り方一つでも審美的にも実際的にも「良い盛り」とそうでない「盛り」がある。いかにもそば同士がもつれていそうに見える盛り方もあれば、手繰ればちょうど一口によい量だけが掴めそうな、そんな気がする盛り方もある。外見に違わず、はしで挟むとスッとちょぼひと摘み分が上がってくる。この段階で既にそば粉の芳醇な香りが漂ってくる。そのまま口に含み噛みしだく。しっかりした歯ごたえと切り口のシャープなエッジ感。そして、そばが放つ芳醇な香りを口一杯に広げて、頬全体で感じ、舌全体でほのかな甘味を味わう。そばについた水の味さえ嗅ぎ分けられてしまう瞬間である。「あー、これだ。自分が真に美味しいと思えるそばの味は」。私見ではあるが、麺に対するこの感覚を都内で探すとすれば、千寿「竹やぶ」、森下「京金」、亀有「吟八亭」。そばの色や太さ、食感もやや違うがトータルな満足感という意味では新井薬師「松扇」、同じく船橋「船橋更科」(特に田舎)である。
しかし、そんな心配は全くの杞憂であった。「つゆ」がまた凄い。つゆだけをそば猪口にとってみる。まず出汁の香りがほのかに香る。そして、わずかな量口に含んで見る。するとどうだろう。唇から舌の先あたりまではこの風味が先行するのだが、舌の奥に進むにつれて力強い返しの辛味が効いてくる。大げさだが、このつゆ実は「2段ロケット仕立て」なのである。
さて、つゆに麺とさらっとつけて食べてみる。そうすると、普通はなかなか両立しない出汁の「風味」とそば粉の芳醇な香りを殺すことなく、麺にからまりつく「力強さ(辛味)」をこのこのつゆは「2段ロケット」方式で見事に両立させているのである。つまり、口に運んだ最初には香りが、そしてつゆのついた麺を噛み締めると辛味が効いてくるという具合だ。「そんな大げさな」と言われるかもしれない。
しかし、誰ひとりいない広大な田舎屋の座敷に座り、禅寺の修行僧の心境でこの麺とつゆに向かうとき、たった一枚の「せいろ」そばの無限の広がりと奥行きを感じざるを得なかった。

 

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