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[ 499] アデランス社長再任案否決、業績低迷でファンドに株主同調 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE（読売新聞）
[引用サイト] http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080530-OYT1T00138.htm
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かつら最大手のアデランスホールディングスの定時株主総会が２９日、開かれ、取締役候補９人のうち、岡本孝善社長ら現職７人の再任案が否決された。業績低迷を理由に経営陣の退陣を求めていた外資ファンドの主張にほかの株主も同調したためだ。アデランスは３人の取締役が必要とされる会社法の規定も満たすことができない異常な事態となった。アデランスの経営の先行きがどうなるのか来月に株主総会を迎える多くの上場企業も注目している。 アデランスの筆頭株主は、約２８％の株式（議決権ベース）を持つ米系投資ファンド、スティール・パートナーズ・ジャパンで、経営陣の交代を求めていたが、株主提案は行っていなかった。アデランス側は社外取締役を２人から３人に増やす提案をしていた。 それでも午前１０時に始まった株主総会で、株主から「業績悪化で経営陣の退陣を求める発言が出ると、拍手がわき起こった」（男性株主）。正午前に現経営陣の再任が否決されると、社員らは「全く想定外の事態だ」と大慌て。経営陣はコメントすら発表できない状態だった。一方、スティールは「（経営陣が株主からの）信任を完全に失い、（株主が）変化を望んだことの表れだ」と、ウォレン・リヒテンシュタイン代表のコメントを発表した。 アデランスの株主構成は外国人が約５０％を占めていたが、有力な海外の議決権行使助言会社２社は会社側の議案に賛成していた。このため、「社外取締役を従来の２人から３人に増やせば株主の理解を得られると安易に考えていたのでは」（大手証券会社）と油断を指摘する声がある。 会社法の規定では、取締役会を設置する株式会社は最低３人の取締役が必要だ。アデランスは今後、臨時株主総会を開き「できるだけ早期に後任の取締役を決めなければならない」（法務省）。欠員が埋まるまでは、不信任を受けた岡本社長ら７人と退任予定だった２人と新任２人の計１１人が暫定的にかじ取りにあたる。 だが、新たな人選は難航が必至だ。スティールは２月にアデランスに送った書簡で、取締役派遣を求めている。現経営陣は、スティールなど大株主の理解が得られる別の経営者を見つける必要がある。あるいはスティール側が要求する中核事業ではない、ゴルフ場売却や、国内かつら事業の立て直しなど、リストラや経営戦略の転換で譲歩したうえで、続投を認めてもらう選択肢があり得る。ただ、スティールは現経営陣の続投は認めない構えだ。 ２９日の東京株式市場で、アデランスの株価は一時、前日終値から３０２円（１６％）上昇、値幅制限いっぱいとなるストップ高となった。市場関係者からは「企業価値向上につながると期待する投資家の方が多かった」（大手証券）との声が聞かれた。 一方、これから株主総会を迎える企業の反応は複雑だ。株価低迷を背景に株主の経営陣に対する姿勢は厳しさを増しているからだ。 ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンド（ＴＣＩ）が大株主の電源開発は、「アデランスは業績が悪化していたと聞いているが、当社は中期経営計画の目標を達成し、増配提案も行う」（広報担当）と事情が異なるとみている。 ただ、電源開発は「会社側の提案が受け入れられるように、株主総会に向けて株主との対話を深めていきたい」とも話している。スティールが筆頭株主のサッポロホールディングスは「５月２日にスティールと会談しており、今後も対話を続ける」（同）と静観している。 野村証券金融経済研究所の西山賢吾・シニアストラテジストは「過去の取締役選任案の否決は、創業家など一部の大株主と経営陣の対立が原因であることが多い。株主の多くが否決に回ったことで、今後はどの企業でも同様の事態が起こりうる」と指摘する。（松原知基） |
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