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[ 347] 原爆症認定訴訟:仙台訴訟 勝訴、原告ら笑顔 踏み込んだ判決評価 /宮城 - 毎日jp(毎日新聞)
[引用サイト]  http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20080529ddlk04040252000c.html

原爆症の認定新基準が策定されてから、一連の集団訴訟で初の司法判断となった、28日の仙台高裁判決。井上稔裁判長は、原告2人の病状と放射線の因果関係と、医療行為の必要性(要医療性)を認めた仙台地裁判決を支持し、国の主張を退けた。最大の争点となった要医療性について、「治療行為が行われていたことは明らか」などと踏み込んだ判決に、原告や弁護団は「苦しんできた他の被爆者にとっても大きな意味がある」と笑顔を見せた。【比嘉洋、鈴木一也】
被爆者として差別された経験もある。人前に出ることに抵抗を感じたこともあった。だが、一緒に認定申請し、処分が出る前に亡くなった川村裕一さん(享年79歳)=仙台市太白区=の無念を思う度に「最後まで戦う」と自らを奮い立たせてきた。
波多野さんが初めて川村さんと出会ったのは、02年8月。日本原水爆被害者団体協議会の呼び掛けで、原爆症の集団申請が始まったころだ。川村さんは県原爆被害者の会(はぎの会)事務局長の木村緋紗(ひさ)子さん(71)宅を訪ね、第2次集団申請に加わろうと相談していた。同席していた波多野さんは、川村さんの言葉に胸を打たれた。
「国の答えが欲しい。若い時からずっと病気を繰り返して苦しかった。でも、国はあの日死んだ人にも、生き残った我々にも、何も補償してくれない」。がんで青ざめた顔で、川村さんは声を震わせていた。被爆者を放置してきた国に怒りを覚えた。申請が却下されれば訴訟に発展することを覚悟で、02年9月、3人で県庁を訪ね、川村さんとともに申請書類を提出した。
その2カ月後、川村さんはすい臓がんで病死。申請は03年2月に却下された。「生きている自分が頑張らなければ」。先に却下されていた波多野さんは、新沼弐雄さん(84)とともに提訴に踏み切った。
長い訴訟の間、眠れない日々も多かったという。同じ広島で被爆した木村さんに「私たちは幸せな被爆者。あの日、何が起きたのかも分からずに死んでいった人たちに比べれば」と何度も励まされたという。
波多野さんは控訴審判決のこの日も、木村さんに抱かれた川村さんの遺影とともに裁判所の門をくぐった。「私、勝ちましたよ。最後まで頑張りましたよ、と言ってあげたい」。判決後の記者会見で、一言一言かみしめるように語った。
新沼さんも会見で、「全員が認定されるまで、頑張らなければと改めて心に誓った」と力説。弁護団の杉山茂雅事務局長は「現在国と戦っている人、がんの再発を恐れながら生活している人にも、救済の手が伸びることになる。非常に大きな意味を持つ判決」と高く評価した。
また、判決後の集会で県内の被爆者の1人は「勝訴判決を弾みに、原爆被害に対する全面的な国家補償と、核廃絶の運動を盛り上げていく」と語り、集まった支援者らから大きな拍手が起きていた。
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